相続放棄をすると形見は受け取れなくなるのか
1 単純承認のリスク
被相続人(お亡くなりになった方)に多額の借金等があり、相続放棄をしようと考えている場合、原則は被相続人の財産を取得してしまうと、「単純承認」と言って、資産も借金も含めてすべての財産を相続する旨の意思表示をしたことになってしまいます。
そして、一度単純承認をすると、相続放棄はもうできなくなってしまいますので、相続放棄をする場合には、形見分けとして被相続人の遺品を持ち帰ることはできない、という結論になってしまいそうです。
2 例外
ただし、取得する財産に経済的な価値がない場合には、例外的に単純承認には当たらないと解されており、形見分けとして相続放棄をしていても受け取ることが可能となります。
たとえば、写真やアルバム、手紙、日記といったものは、当然これに我当するでしょう。
そのほか、一般的な洋服や使い古した家電、一部趣味の道具などがこれに該当する可能性があります。
3 注意が必要なもの
このような品の中でも、注意が必要なのは、ブランド品や、高価な家電(カメラ等)、ゴルフクラブといった趣味の道具など、経済的な価値があると思われるものについては、たとえ被相続人の思い出が詰まっていたとしても相続放棄をするのであれば受け取ることはできない、ということです。
この辺りの判断は、明確な基準があるわけではなく事例判断になりますので、迷われている方はすぐに弁護士に相談されることをお勧めいたします。
4 経済的価値がある物の取得
それでは、経済的価値がある物を取得したい場合には、借金等マイナスの資産もすべて相続しないと取得ができないのでしょうか。
この場合、民法922条に規定される、「限定承認」という制度を使うことが考えられます。
これは、取得した財産の範囲で借金等マイナスの資産も引き受ける、という制度です。
たとえば時価50万円のカメラを取得する場合、この50万円を弁済することでカメラを取得する、というものになります。
ただ、この制度を利用するには相続人全員の同意が必要であり、また期間としても相続放棄と同様、相続を開始した時から3か月以内に家庭裁判所に申し出をしなければなりません。
こちらは手続きが煩雑である上に、経済的価値の把握も適切にしなければならなく、しかも時間制限もあることから、検討されている方はすぐに弁護士に相談することをお勧めいたします。



























