相続放棄をするとペットを引き取れなくなるのか
1 相続放棄とは
相続放棄とは、民法915条に規定されていますが、亡くなった人(「被相続人」といいます。)の財産について、その相続人がプラスのものもマイナスのものも、すべてを放棄するという手続きになります。
ペットとなる動物は、大切な家族であることは間違いありませんが、法律上は「動産」といって、物として扱われることとなり、ここでいう財産に含まれることになってしまいます。
そうすると、相続放棄をした場合、ペットはこの財産の中にふくまれることから、原則引き取ることはできない、という結論になってしまいます。
2 リスク
これを無視してペットを引き取った場合、単純承認をしたと扱われ、相続放棄ができなくなってしまう、または後から取り消されてしまうというリスクがあります。
では、相続放棄をした場合、ペットを引き取ることは一切できないのでしょうか。
3 管理義務
相続放棄した場合でも、ペットの遺産分割がきちんと完了するまでは他の相続人と共同でその管理義務を負っています。
よって、この管理義務の範囲で世話をすることは可能と考えらえます。
具体的には、適切な住環境の提供や、けがの治療・ワクチン接種・健康診断等の健康のための管理、えさやり等がこれに該当するでしょう。
他の相続人と書面などを取り交わし、ペットを引き取りたい人にこの管理行為を一任すれば、仮に相続放棄をした人だとしてもペットの管理は可能となると考えられます。
遺産分割後も、ペットの所有権を引き継いだ相続人から引き続き管理について一任してもらえれば、そのままペットの世話を継続することは可能です。
ただし、自治体や動物病院への名義の登録は相続人した人名義とするか、共同管理名義とし、相続放棄した人の名義だけとすることは避けた方がよいと思われます。
4 形見分け
相続放棄をした場合でも、「形見分け」の範囲内であれば、一部被相続人の物を引き取っても問題はありません。
ペットに財産的価値が一切ない、もしくは微々たるものしかない、という場合には形見分けとして引き取ることも可能と考えられます。
一方、血統書付きのペットなど、財産的価値がある場合には、前項の方法を取らざるを得ません。
5 判断が難しい点
ペットに財産的価値があるかどうかの判断は難しいところもあるかと思います。
その一方で、現実問題として、相続放棄の審査について、家庭裁判所はそこまで厳格に財産調査などをするわけではないですし、筆者自身通常のペットの引き取りで相続放棄が取り消されたという事例は聞いたことはありません。
結局は明確な定義や正解はなく、個別具体の事例につき、できるだけリスクを下げる方法を模索する、という方法しかありません。
よって、相続放棄とペットにつき悩まれている方は、すぐに弁護士に相談されることをお勧めいたします。
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